過去の受賞作品

受賞作品|審査員講評|3次審査風景

審査員講評

関東・関西審査委員長 伊久 哲夫 (積水ハウス株式会社 取締役 専務執行役員)

本年の最終的な入賞作品はテーマが様々で興味深かったものの、コンペも9年目を迎え、応募作品全体的には独創性豊かな提案が若干減少しているように感じました。5月のプレ審査応募に始まり3次審査まで半年間にも及ぶ本コンペの最大の特徴はそのプロセスにあり、リアルサイズで考え創ることを自ら実体験し学ぶことにあります。したがって審査においては各段階における審査員の指摘に対してどのように応え進化成長したか?が大きな評価ポイントであり、その努力が感じられ、ブラッシュアップが確認できる作品が最終的に評価されました。今回悔しい思いをした学生の皆さんは是非リベンジして欲しい。そして本コンペの大きなテーマである「ecoデザイン」、更には人々の生活をより豊かにするための「住空間デザイン」について真摯に取り組み、更なる成長をされることに期待しております。

関西審査委員 福原 成雄 (大阪芸術大学 芸術学部 環境デザイン学科 教授)

学生の成長を評価する取組として、原寸大モデル制作実現を目指し、一次、二次、三次審査とほぼ半年間行われ、ものづくりの楽しさと難しさを体験できる大変ユニークなコンペである。今年度の特色は二次審査、三次審査の選考が公開で行われ、どの様な基準で選考されたのか、審査の過程を学生も聴けるようになった。さらに、各審査委員の賞も創設され、幅広く作品に光が当たるようになった。三次審査では、原寸大モデル制作者との協議で学生がどれだけ真剣に思考し想いが伝えられ、完成度が高められたのかが問われた。原寸大モデルを実現させる努力が足りなかったのか全般的に力不足を感じたが、最も現実的で実現可能な作品が最優秀賞に選ばれた。

関東審査委員 田渕 諭 (多摩美術大学 美術学部 環境デザイン学科 教授)

今年の応募作品は、住空間やECOの思考枠を更に拡げてくれる柔軟な案が多く見受けられた。これらの中から最終のリアルサイズの制作に4点が選ばれた。①被災地に、放置間伐材を利用したバス停のブックステーションを計画した案は、復興デザインに何ができるか真摯に取り組み、モックアップの完成度も秀逸な案であった。②窓外に多用途の開口部材を作り、新たな街並みコミュニケーションを創り出す案は、住宅の楽しさを再認識させた。③有害土壌の再生からヒントを得て、型枠削減ピースからなる3次元空間は、新しい構造・工法の予感を感じさせた。④公園に大きな堀火燵を造る案は、落葉処理とコミュニケーションを同時に可能にした楽しい案であった。応募作品の傾向は、積極的に人々とのコミュニケーションを図りながらECOに繋がるという、生活密接型のECO的時代感覚が感じられた。次回も更なる学生のECO的視野の広がりと創造力が楽しみである。